残業をしても相応の残業代の支給が受けられない残業代未払いの問題は、かつては多くの企業で見られる労働上の問題とされていました。
一方、近年は労働環境の改善が進み、残業代未払いの問題は以前よりは下火になっていると考えられています。
しかし、今でも残業代未払い問題に悩んでいる人も多い可能性は十分にあります。
残業代未払い金の請求を行うには、1人で努力して対処できる問題ではありません。
弁護士事務所など、専門家に相談するのが、解決に向けての最短の道といえるでしょう。
今回は、残業代未払い請求の相談をするのにおすすめの弁護士事務所を紹介します。
また、安心して利用できる弁護士事務所の選び方や、弁護士事務所に相談するメリット及び弁護士費用を少しでも抑える方法などについても解説します。
この記事でわかること
残業代未払いの問題に悩んでいる人は、今回の記事を参考にして対策を練ってみてはいかがでしょうか。
数ある弁護士事務所の中から、残業代未払い請求の問題に向いている事務所を選択するのは大変重要です。
同じ弁護士事務所でも、得意分野と経験の乏しい分野があります。
スムーズな手続きを進めるうえで、信頼できる弁護士事務所選びは非常に重要な問題です。
以下のようなポイントを重視して、残業代未払い請求に向いている弁護士事務所を選びましょう。
残業代未払い請求問題は、難解を極める恐れがあります。
頼れる弁護士事務所に味方になってもらい、スムーズに手続きを進めるように検討しましょう。
過去に、残業代請求に関連する事案を取り扱った実績が十分にある弁護士事務所を選んだ方が良いでしょう。
弁護士事務所によって、事案の種類ごとの得手不得手は必ず存在します。
弁護士が取り扱う事案は多岐にわたるため、中には残業代未払い請求を一度も取り扱っていない事務所があるかもしれません。
残業代未払い請求のような労働関連の事案は、深い知識と豊富な経験が不可欠であるため、過去の取扱実績は重視するべきです。
効果的な手続きを行うため、事務所選びの際は残業代未払い請求の経験について必ず調べましょう。
残業代未払い請求に要する費用の全体を比較して、少しでも負担が少ない弁護士事務所を選ぶのも大切です。
報酬金額は、弁護士事務所によって設定が大きく異なるケースも少なくありません。
首尾よく残業代未払い分の返還を実現したとしても、弁護士に支払う報酬金額が大きいと、手元に残る金額は結局少しだけになってしまうケースもあります。
最近は、初回相談料や着手金が無料としている弁護士事務所も増えています。
しかし、成功報酬として着手金の部分を上乗せするような対応をするケースもあるため、費用比較をする際は費用全体を比べましょう。
担当の弁護士と話をした際に、説明が丁寧な方が安心です。
弁護士の優劣を推し量る際、説明の上手さや丁寧さは重要な要素と考えられています。
法律関連の事案には、多くの専門用語が存在します。
専門的で難解な言葉を逐一分かりやすい表現で説明する弁護士は、一般的に信頼が置けるケースが多いです。
また、説明の丁寧さに加えて費用の説明を明確に行う弁護士の方が信頼感が高いです。
特に、成功報酬に関しては誤解が生まれるケースが多い重要なポイントであるため、誤解が生まれないよう丁寧に説明を行なってくれる弁護士の方が信頼できるでしょう。
担当の弁護士との相性も、自分に合った弁護士事務所選びの重要な視点といえます。
残業代未払い請求の手続きは、長期に及ぶケースも少なくありません。
長期的なやり取りをストレスなくこなすためには、どのようなことでも気軽に質問ができる、相性の良い弁護士でないと難しいでしょう。
弁護士との相性を確認するためには、実際に会って話をするのが良いでしょう。
近年は、初回あるいは何度でも相談を無料で受けられる事務所も増えています。
複数の事務所を訪れて、相性の良い弁護士がいる事務所を選択するのがおすすめです。
残業代未払い請求の手続きは、難解な経緯をたどるケースも少なくありませんので、相性の良い弁護士に相談をしましょう。
残業代未払い請求をする際は、以上で紹介した比較のポイントを意識しながら、頼りになる弁護士事務所を選ぶと良いでしょう。
今回は、数ある弁護士事務所の中から、残業代未払い請求の相談をするのにおすすめの事務所を5箇所紹介します。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|---|
弁護士法人リーガルプラス | 無料 | 原則無料 | 回収額の22~33% |
QUEST法律事務所 | 無料 | 無料 | 33万円+回収額の19.8% |
弁護士法人エース | 無料 | 無料 | 回収額の26.4% |
アディーレ法律事務所 | 無料 | 無料 | 275,000円又は385,000円+回収額の17.6% |
ベリーベスト法律事務所 | 無料 | 原則無料 | 回収額の27.5~33% |
いずれも残業代未払い請求に成功しない場合には、費用がかからない親切設定の弁護士事務所ばかりです。
まずは、気軽に相談を依頼してみてはいかがでしょうか。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|---|
弁護士法人リーガルプラス | 無料 | 原則無料 | 回収額の22~33% |
弁護士法人リーガルプラスは、多くの弁護士が所属しており幅広い分野の事案を取り扱ってきた実績を持つ弁護士事務所です。
残業代請求においても十分な実績をもち、業種ごとに注意すべきポイントをしっかりと理解しています。
相談料及び着手金は原則無料であるため、安心して相談を持ち掛けられるでしょう。
企業側との交渉の粘り強さに定評があり、請求できる金額の回収に向けて妥協なく取り組んでくれる信頼できる弁護士事務所です。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
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QUEST法律事務所 | 無料 | 無料 | 33万円+回収額の19.8% |
QUEST法律事務所は、残業代未払い請求の実績を十分に持つ弁護士事務所です。
本来、残業代請求には物的な証拠がないと交渉は難しいのが現実です。
しかし、QUEST法律事務所では証拠がなくても交渉に持ち込めるノウハウを持っています。
他の事務所で証拠がない点で断られたとしても、QUEST法律事務所であれば残業代未払い請求に対応してもらえるかもしれません。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|---|
弁護士法人エース | 無料 | 無料 | 回収額の26.4% |
弁護士法人エースは、豊富な知識と経験を持って残業代未払い請求に対応してくれる、頼れる弁護士事務所です。
弁護士法人エースの場合は、専属の弁護士がついて一貫したサービスを受けられます。
さらに、法律に関する事務的作業を専門に行うパラリーガルという立場の社員がサポートしてくれます。
2人体制によりスムーズできめ細かいサポートが受けられる、安心の弁護士事務所といえるでしょう。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|---|
アディーレ法律事務所 | 無料 | 無料 | 275,000円又は385,000円+回収額の17.6% |
アディーレ法律事務所は、弁護士事務所の中でも大手で規模の大きな団体です。
アディーレとはラテン語で「身近な」という意味があるように、誰でも気軽に相談を受けられる身近な弁護士事務所を目指しています。
相談料及び着手金は無料で、残業代未払い請求が実現した段階で初めて費用が発生します。
まずは相談して残業代請求実施の可否を決めたいと考える人でも、快く相談に応じてくれるでしょう。
名称 | 相談料 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|---|
ベリーベスト法律事務所 | 無料 | 原則無料 | 回収額の27.5~33% |
ベリーベスト法律事務所は、労働問題に関する実績が豊富な弁護士事務所です。
労働問題を中心に経験を持つ弁護士がおよそ350人在籍しており、専門的な見地から適切なアドバイスを受けられます。
全国に拠点を持ち、テレビ電話などを介して遠隔での打ち合わせや相談に応じています。
ベリーベスト法律事務所では税理士や社会保険労務士など幅広いジャンルの専門家が所属している総合法律事務所であるため、柔軟な対応を受けられるケースが多いです。
残業代未払い請求の相談をする相手としては、弁護士事務所だけではなく他にもあります。
司法書士事務所や地域の労働関連の相談センターなど、他にも様々な場所で相談が可能です。
しかし、弁護士事務所に相談すると主に以下のようなメリットを享受できます。
残業代未払い請求の手続きは、思うような結果が得られない場合も多いです。
少しでも希望通りの結果を得られるように、頼れる弁護士事務所に相談しましょう。
弁護士事務所に相談すると、最初の無料相談の際におおよその未払い残業代がわかります。
残業代未払い請求を行う前に、どれくらいの金額が請求できるのか、目安を知りたいと思う人も多いでしょう。
残業代請求には3年の時効もあるため、自身で請求金額を見積るのは難しいのが現実です。
そこで弁護士事務所に相談すると、請求可能額の目安を提示してもらえるケースが多いです。
具体的な金額を把握すると、困難な手続きであっても前向きに取り組めると感じる人も多いでしょう。
まずは弁護士事務所に相談をして、請求額の目安を確認しましょう。
「弁護士」という職業の名称には、法的な観点から見て大きな力があります。
残業代の支払いをしていない企業に対して請求をする際に、労働者個人が行っても取り合ってもらえないケースもあるでしょう。
一方、弁護士の名称で書面で要件を企業に伝えると、応対する企業側も真剣に対応すると考えられます。
弁護士の力を借りて、企業側に真摯な対応を求めるのは、弁護士事務所の有効な使い方といえます。
弁護士事務所に相談すると、残業代未払い請求の手続きについて、具体的な対応方法を明示してもらえるでしょう。
残業代の請求をしたいと考えても、知識と経験のない人の場合は具体的にどのような手順を踏んだらよいのかわからないケースが多いでしょう。
一方、弁護士事務所に相談すると具体的な手順が示されます。
最初の相談の際に、現状を正確に伝えると、相談者1人1人に適した対処方法を提示されるでしょう。
請求可能額や弁護士事務所側に支払う費用など、残業代未払い請求によりどれくらいの金額が手元に残るのか、試算をしてくれる場合も多いです。
自分1人ではどうしたら良いのかわからない状況でも、プロの経験と知識を持って適切なアドバイスが受けられるのは、大きなメリットの1つといえるでしょう。
弁護士事務所を起用すると、面倒な手続きや各種金額の計算などのサポート及び代行が受けられます。
残業代未払い請求を行うためには、企業側に書面で要件を明示する必要があります。
法的な効力を発揮するためには、相応の要件を盛り込まないといけません。
自身での対応が難しい部分であるため、弁護士事務所のアドバイスを受けたり、代行を依頼したりなどが有効となります。
また、残業代未払い請求の金額計算は、かなり複雑になるケースが多いです。
割増金や遅延金など、考慮すべき点が多いです。
弁護士事務所に依頼すると、金額計算の代行にも応じてくれて、正確な金額が算出されるでしょう。
弁護士事務所に相談すると、高額な残業代未払い金額を請求できる可能性があります。
残業代未払い請求においては、残業代そのものだけでなく割増金や遅延金など、考慮すべき内容が多いです。
整合性があり法的に問題のない請求金額を算出しようとしても、経験や知識のない個人では難しいでしょう。
弁護士事務所であれば、プロの経験と知識から、請求できる最大限の水準を提示してくれます。
また、弁護士は交渉力にも優れているため、企業側とのやり取りを有利に進められる可能性が高いのです。
可能な限りの高額請求を行えるのも、弁護士事務所を利用する大きなメリットの1つといえるでしょう。
弁護士事務所を利用すると、裁判に発展した場合でもそのまま弁護を依頼できます。
残業代未払い請求においては、訴求先の企業が申し出に応じず、真っ向から対立してくるケースも少なくありません。
両者の折り合いがつかず、裁判に発展するケースもあります。
その場合、同じ弁護士事務所に弁護を依頼できるため、事情を詳細に理解している弁護士のサポートを受けられるでしょう。
弁護士は、裁判に関連する手続きにおいて、原告側の代理人としてほとんどの手続きを代行できます。
実際の裁判でも代理人として対応が可能であるため、安心して裁判に臨めるでしょう。
以上のように、残業代未払い請求に関して、弁護士事務所に相談するメリットは多いです。
しかし、弁護士の起用には費用が発生するのは否めません。
少しでも弁護士費用を抑えるために、可能な限り対策を講じましょう。
弁護士費用を抑えるためのコツについて、以下に4項目紹介します。
残業代未払い請求によって得られる成果を少しでも高くするため、あらかじめ費用面を抑える工夫をするのはおすすめです。
弁護士費用を抑えるためには、少しでも報酬額が低額な弁護士事務所を利用すると良いでしょう。
高い費用を求める事務所を利用したとしても、必ずしも高い成果が得られるとは限りません。
また、逆に安価な報酬額の弁護士事務所であっても、残業代未払い請求の経験が豊富にある場合もあるでしょう。
弁護士事務所は、初回の相談が無料であるケースが多いため、複数の事務所に相談をして値段や雰囲気を比較するのがおすすめです。
無料相談を経て、値段の安さと相談先としての信頼感のバランスが良いと思える事務所を選ぶのが良いでしょう。
弁護士事務所の利用前に、無料相談を最大限に利用するのはおすすめです。
前述のように、弁護士事務所の多くは初回の相談を無料で受けられます。
また、中には初回だけでなく相談は何度も無料で対応してもらえるケースもあります。
複数の弁護士事務所の無料相談を受けて、相性の良い事務所を選ぶと良いでしょう。
弁護士事務所の費用比較をする際は、事務所ごとの料金体系を細かく確認する必要があります。
費用総額を正確に算出するためには、構成される費用項目の明細を確認すると良いでしょう。
以下に、残業代未払い請求で発生する主な費用項目について紹介します。
項目ごとの費用金額を把握して、事務所ごとの料金体系を正確につかみましょう。
弁護士事務所で相談をする際は、相談料が発生します。
1時間当たり5,000~10,000円が相場とされています。
しかし、近年は初回の相談が無料又は何度でも無料の設定をしているところも増えているため、事前に確認しましょう。
着手金とは、弁護士に依頼した際に発生する費用です。
手続きの最初に支払う費用で、相場は20万~30万円とされています。
しかし、近年は残業代未払い請求が実現しないと着手金は発生しないとしている事務所も増えています。
成功報酬とは、残業代未払い請求が成功した際に支払う報酬を指します。
一般的には、達成した残業代請求の金額の一定割合を報酬として支払うケースが多いです。
着手金を請求しない事務所は、この成功報酬を高めに設定している場合もあります。
弁護士に依頼をする際は、他にも費用が発生します。
多くの事務所で見られる費用項目としては、以下のようなものがあります。
弁護士事務所によって様々な設定がされているため、あらかじめ確認すると安心です。
残業代未払い請求の証拠となる資料は、自分で集めると弁護士費用を抑えられます。
証拠資料の収集も、弁護士に依頼できます。
しかし、現実的に資料収集は企業に所属している人がする方が効率が良いといえるでしょう。
また、費用面でも自身で証拠をそろえた方が負担を抑えられます。
残業代未払いの証拠は、残業代請求の成否を握る非常に重要な要素です。
証拠集めは、企業によっては難しいかもしれません。
しかし、費用を抑える目的だけでなく残業代未払い請求を成功させるためにも、証拠を手に入れるように対処しましょう。
残業代未払い請求は、所属している企業を退職してから行動を起こすのが一般的です。
まれに、在職中に残業代請求を実施する人もいます。
しかし、勤務先との関係性や精神的な面を考慮すると、在職中の行動は大きな負担を強いられるケースが多いです。
残業代請求には時効があるため、早めに行動を起こした方が良い面もあります。
在職中に行動を起こす際の懸念点や、退職しない場合の対処方法について以下に解説をするので、ぜひ参考にしてください。
勤務先に在職した状態であっても、残業代未払い請求はできます。
しかし、勤務先との関係性が大いに悪化する点が懸念されるため、一般的ではありません。
企業と労働者の関係性は、労働組合などで守られているとはいえ、対等な立場で話し合いに応じてくれる可能性は低いといえるでしょう。
また、弁護士に依頼をして残業代請求の手続きをサポートしてもらっている点が企業側に認識されると、関係性が大いに悪化する可能性が高いです。
残業代未払い請求を理由に解雇されるのは違法であるため恐れる必要はありませんが、職場における立場や勤務先との関係性が悪化する事態は避けられないでしょう。
もし、退職を希望せず状況を改善したい場合には、残業代未払い請求を実行する前に他の手段を検討しましょう。
まずは、所属する労働組合に相談するのが一般的でしょう。
労働組合は、労働者の立場を守り主張を取りまとめて勤務先と交渉する役割を持つ団体です。
労働者側の課題として、問題提起をしてくれる可能性が高いです。
また、労働基準監督署に匿名で報告して企業に対する是正勧告を発してもらう方法もあります。
しかし、これらの方法は問題が解決するまでにかなりの時間を要するケースが多いです。
また、残業代未払い請求を実現できないケースもあります。
確実に未払金を請求したい場合には、退職後に弁護士事務所を介して手続きを実行するのが妥当でしょう。
残業代未払い請求を実行するか検討している人は、まずは頼れる弁護士事務所に相談をしましょう。
おすすめの弁護士事務所を見つけるポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
残業代未払い請求に関する相談は、弁護士事務所以外でも可能です。
しかし、弁護士事務所へ相談するのが良い理由としては、以下のメリットが挙げられます。
弁護士を起用すると、高額の費用が発生してしまうでしょう。
少しでも負担を抑えるため、以下のような対策をするのがおすすめです。
今回紹介したおすすめの弁護士事務所を参考に、自分に合った相談先を見つけて納得のいく残業代未払い請求を行ってください。