残業代請求するにはまず内容証明郵便

 近年、残業代未払いのニュースも多々あり、残業代請求について高い関心が寄せられております。そこで、自分で残業代請求をしようと考えている方も増えてきているかと存じます。その方々の中には、色々調べてところ、また、労基署に相談したところ、残業代請求するにあたって、まず内容証明郵便を会社に送って請求をすればいいと考えている方もいるのではないでしょうか。また、“内容証明郵便で送らなければならないの?”と疑問に思ったかたもいらっしゃるかと存じます。
 そこで、今回は内容証明郵便と残業代請求の関係について、説明をしていきたいと思います。

残業代請求ができる期間について

 まず、なぜ残業代請求をするにあたって、“内容証明郵便を会社に送ること”が必要と考えられるのでしょうか。
 それには、残業代請求ができる期間、つまり、時効が関係してきます。そこで、内容証郵便の必要性の説明をする前提として、残業代の時効についてまず説明をしていきたいと思います。
 残業代請求については、給料支払い日から遡って2年以内に発生している残業代について請求ができるものとされています。
 例えば、給料の締日が毎月25日で給料日が毎月末日と定められていて、2019年4月28日に残業代請求をした場合は、2017年4月末日に支払われるべきであった残業代、すなわち、2017年3月26日以降に発生している残業代について請求をできることになります。
 このように、残業代請求できる期間には限りがあり、残業代が発生していた時期ならいつまでも遡って請求できるというわけではありません。

時効を止めるには

 では、上記で説明をした時効を止めるには何をすればいいのでしょうか。
 残業代請求の時効を止めるには、会社に対して未払い残業代を支払うように「催告」をすることがまず考えられます。かかる「催告」をすると残業代請求の時効は、6か月間止まることになります。
 したがって、上記の例でいいますと、2019年4月28日に、この「催告」が会社側に届くと、その日から6か月間は残業代請求の時効は止まることになります。
このように、“「催告」をした”といえるためには、相手方にその内容が届く必要があります。
 
しかし、残業代請求に対して、会社としては支払たくないのが多くの会社の反応だと思われます。したがって、会社としては、“そんな催告はされていない”と主張する可能性もあり、“そのためとっくに時効によって残業代請求はできない”、と主張される可能性もあります。
 その場合、どのようにすればこのような事態を免れるでしょうか。このような事態に備えて、残業代請求をする側は、残業代を「催告」した証拠を残す必要があります。
 そのため、内容証明郵便を送ることが必要とされています。
 なぜなら、内容証明郵便は、内容証明に記載されている事項を相手方に届けたこと、相手方に届けた日を証明してくれるものです。したがって、内容証明郵便で残業代請求をすれば、「何年何月何日に残業代請求が当該従業員から当該会社に対してなされた」という証拠を作ることができ、重要な証拠となります。

6か月が経過したらどうなるのか

上記の「催告」から6か月以内に、会社側と話し合いをして、残業代請求に会社が応じてくれれば、何の問題もありません。
しかしながら、上記「催告」から6か月以内に会社側が残業代請求に応じなかった場合は、もう時効がきてしまうため、残業代請求ができないのでしょうか。
結論から申し上げますとそうではありません。「催告」は一旦時効を中断する手段であり、実際に時効を止めるには、裁判をする必要があります(もっとも、会社側が消滅時効を援用することを放棄してくれれば裁判をする必要はありません)。
「催告」から6か月以内に裁判上の請求をすることによって、時効は止まります。そして、裁判上では、時効が経過していると主張される可能性があります。その場合に、時効が経過していないことを証明するために、内容証明郵便は重要な証拠となります。

残業代請求と時効の関係について

 以上のように、残業代請求は時効との関係で2段階になる可能性があることを認識していただければと思います。

①内容証明郵便で残業代請求をする

時効が中断している6か月の間に会社と交渉をする

②時効中断期間の間に会社が支払ってこなかった場合は裁判上の請求をする

裁判所で残業代請求をする

まとめ

今回は、残業代請求をするにあたっての時効についての問題と、時効を中断させるための手段について、説明をさせて頂きました。残業代請求には上記で説明をしましたとおり、2年間の時効があるため、時効を中断させることはとても重要なことです。したがって、残業代請求を考えている方は、時効については細心の注意を払っていただきたいと思います。

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