サービス残業・みなし残業とは違法ではないか

 サービス残業をしている人は、6割を超えるという調査結果が報告されており(日経ビジネス2016年10月20日記事に基づく)、実際ままだまだ日本の社会ではサービス残業は横行しているといえます。サービス残業だから残業代が支給されないのは当然だと思っていませんか。また、みなし残業代が支給されているから、いくら残業しても残業代は支給されないのは当然と思っていませんか。
 今回は、サービス残業及びみなし残業制が違法になるケースについて説明をしていきます。

サービス残業は違法ではないか

 労働基準法37条は、労働時間を1日8時間、週40時間と定め、これを超えて労働させた場合は原則として、使用者に残業代を支払うことを義務付けています。
 したがって、サービス残業であったとしても、残業であることには変わりはありませんから、会社がサービス残業として残業代を支払っていない場合は、一部の例外を除き労働基準法違反になります。
 そのため、会社が定時やある一定の時間になったらタイムカードを切ってその後も業務を続ける場合や、業務上の必要性から始業時間前に出勤して業務をしている場合、使用者の指示に基づき、参加が強制されている終業時間後の教育訓練に参加した場合、休憩時間とされている時間に、電話番をしなければならない場合や、来客の対応をしなければならない場合において残業代が支給されていない場合、また、名ばかり管理職として残業代が支給されていない場合等は、労働基準法違反になる可能性があります。

みなし残業制は違法ではないか

みなし残業制とは、定額残業制ともいい、これは、企業が、毎月一定時間の残業を想定し(みなし残業時間といいます)、そのみなし残業時間分の残業代をあらかじめ固定し、残業時間を計算しなくても、そのみなし残業分の残業代を支払う制度です。

 このように、会社としては、実際の残業が定められたみなし時間内の残業であれば、毎月の残業代の計算の必要がないため、このようなみなし残業制が多く採用されています。

 では、どのような場合にみなし残業制は違法になる可能性があるのでしょうか。

実際の残業時間があらかじめ想定されている残業時間を超えた場合

みなし残業代制は、想定されている残業時間を実際の残業時間が超えた場合は、会社側は追加で残業代を支払う必要があります。
具体的には、例えば、「残業手当:4万円(40時間分)」と定められている場合は、月に50時間働いた場合は、会社は、別途追加で10時間分の残業代が支払われなければなりません。
したがって、毎月固定のみなし残業代が支払われているだけで、想定されているみなし残業時間を超えて働いても追加で残業代が支給されていない場合は、労働基準法違反になります。

みなし残業代が想定されている残業時間に比して明らかに少ない場合

 みなし残業代とは、上記のとおり想定される残業時間に対して支払われる残業代です。したがって、想定されている残業時間に対する残業代として明らかに少ないみなし残業代しか支払われていない場合は、違法になる可能性があります。

基本給が最低賃金を下回っている場合

 基本給とみなし残業代の総額は、最低賃金を下回っていないけれど、基本給だけをみると最低賃金を下回っているケースがあります。上記の説明のとおり、みなし残業代とは、想定される残業時間に対する対価であり、所定労働時間労働に対する対価ではありません。基本給とは、所定労働時間労働に対する対価であり、これと、みなし残業代は区別する必要があります。すなわち、みなし残業代は、残業時間に対する対価として支払われなければなりません。したがって、基本給とみなし残業代の総額は、最低賃金を下回っていないけれど、基本給だけをみると最低賃金を下回っているケースでは、みなし残業代は残業時間に対する対価として支給されているものではなく、所定労働時間労働の対価として支払われているものである可能性が高く、残業代が支給されていないとして違法になる可能性があります。

みなし残業代ではなく他の名目で支払われている場合

 会社によっては、「営業手当」等他の名目の支給があり、これがみなし残業手当であるから残業代は出ないと説明をしているケースがあります。
 実際に、雇用契約や就業規則に「営業手当」等他の名目の支給は、みなし残業代として支給する旨が明記されている場合は、違法にはなりません。
 しかしながら、特に雇用契約や就業規則にこのように明記されていない場合は、かかる手当は、みなし残業代の趣旨とはみなされないので、会社が残業代を支給していない場合は違法になる可能性があります。

想定されている残業時間が90時間や100時間といった場合

 「残業90時間分」や「残業100時間分」としてみなし残業代が支払われているケースがあります。このような場合、実際の残業時間が想定されている残業時間を超えることはほとんどない場合があります。その場合は、みなし残業代に追加して残業代は一切支払われないのでしょうか。
 これについては、現在判断が分かれているところであり、このような固定残業代の合意が、残業を例外とする労働基準法の趣旨、36協定に反し、公序良俗に反し無効であるといった判断も出ているケースもあります。
 そのため、みなし残業代として月残業90時間分や100時間分出ているから残業代請求を必ずしもできないというわけではなく、就業規則の記載事情、36協定の内容、残業代の支給実態等により請求できるケースもあるので、このような固定残業代の合意がなされている場合も、残業代請求をあきらめるのではなく、一度専門家にご相談されることをお勧めします。

まとめ

以上のとおり、まだまだサービス残業が横行しているのが実体です。説明してきましたとおり、サービス残業として残業代を支給しないことは違法です。また、みなし残業代制を使用してみなし労働時間を超える残業について残業代が支払われていないことも多々あります。今回の説明を読んでいただき、一度ご自分の残業代はしっかり支払われているか確認をして頂きたいと思います。

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