残業代の計算方法を正しく理解しましょう

 給与明細を見ると残業代がついているけど、実際どのように計算されているか分からない、という方も多いかと思います。今回は、残業代がどのように計算して支払われているのか説明をしていきますのでご覧ください。

残業代の求め方

 残業代は通常の勤務形態の場合、以下の計算式によって算定されます。

             基礎賃金
残業代 = ――――――――――― × 割増率 × 残業時間
         1か月の所定労働時間

基礎賃金

 基礎賃金とは、基本給のような1か月あたりの労働の対価に該当するものです。
 以下のものは、基礎賃金から除かれます。
・家族手当・扶養手当・子女教育手当
・通勤手当
・別居手当・単身赴任手当
・住宅手当
・臨時の手当(結婚手当、出産手当など)

1か月の所定労働時間

 会社によって、雇用契約や就業規則によって1日あたりの勤務時間、休日が定められていると思います。これを、所定労働時間といいます。
 月によって日数や土日の数が異なるため、1か月間の所定労働時間は毎月異なります。そのため、1か月間の所定労働時間は、1年間の平均から求めることになります。
 例えば、勤務時間が平日9時から18時(休憩1時間)、休日は土日、祝日の場合は以下のとおりになります。
 平成29年を例にとると、1年間の勤務日数は、251日ですので、1年間の所定労働時間は2008時間(8時間×251日)となります。
 したがって、1か月あたりの所定労働時間は、2008時間÷12か月≒167時間となります。

割増率

・時間外労働(法定労働時間を超えた場合):25%割増

・時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合):50%割増

・深夜労働(午後10時から午前5時までに労働した場合) 25%割増

・休日労働(法定休日に労働した場合):35%割増

したがって、要件が重なる場合は次のようになります。
・時間外労働(法定労働時間を超えた場合)をした場合でそれが深夜労働の場合:50%割増

・時間外労働(1ヵ月60時間を超えた場合)をした場合でそれが深夜労働の場合:75%割増

・休日労働をした場合でそれが深夜労働の場合:60%割増

*雇用契約や就業規則で上記より高い割増率が定められていた場合は、雇用契約や就業規則で定められている割増率になります。

休日労働とは

 労働基準法は、1週間に1日(または4週間に4日)の休日を労働者に与えなければならないと定めています。この休日を法定休日といいます。この法定休日に労働した場合は、上記のとおり35%の割増賃金が私われることになります。
 例えば、土日休みの会社が多いかと思いますが、1日のみが法定休日になり、残り1日の休日は、通常の勤務日における労働と同様に扱われ、35%割増されないことなります。

月60時間超えの場合

 法定休日以外の実際の労働時間が、法定労働時間を1か月あたり60時間以上超えた場合、その60時間を超えた部分の残業については、割増率は50%になります。
 もっとも、以下の場合は、月の残業時間が60時間を超えても25%割増のままです。

・小売業者で、資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者50人以下

・サービス業で、資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者100人以下

・卸売業で、資本金1億円以下、または、常時使用する労働者100人以下

・その他の事業で、資本金3億円以下、または、常時使用する労働者300人以下

残業時間

 労働基準法は、所定労働時間の上限を定めており、1日8時間以内、1週間40時間以内と定めています。そのため、会社によっては1日8時間以内であれば自由に所定労働時間を設定することができます。かかる所定労働時間を超える労働時間を残業時間といいます。
 もっとも、労働基準法は、法定労働時間を超えて労働した場合についてのみ、上記割増賃金を支払うことを義務付けているため、例えば所定労働時間が1日7時間で2時間残業をした場合は、法定労働時間の範囲内の1時間分については、就業規則等に個別の規定がない限り、割増されない通常の単価が支払われ、残りの1時間分については、通常の単価に25%割増した賃金が支払われることになります。

具体例で計算をしてみましょう

 例えば、勤務時間が平日9時から18時(休憩1時間)、休日は土日、祝日で、基本給23万円、住宅手当3万円で、ある週では平日毎日18時から22時まで勤務した場合、残業代はどのように計算すればよいでしょうか。

・1時間あたりの割増賃金

 住宅手当は基礎賃金から除外されるため、基礎賃金は基本給23万円のみとなります。
 1か月の所定労働時間は、平成29年を例にとると、上記のとおり167時間となります。
 以上より、1時間当たりの割増賃金は、23万円÷167時間×1.25=1721円となります。

・残業代

 1721円×4時間×5日=3万4420円となります。

まとめ

 以上、残業代の計算方法を紹介しました。計算してみて、実際に支払われている残業代が違うのではないかと疑問に思った際はご相談されることをお勧めします。