残業代は支払われていますか?

 労働法は、使用者が、法定労働時間を超えて従業員を労働させた場合は25%以上割増(月60時間を超えると50%以上割増)した、法定休日に労働させた場合は35%以上割増した、深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合は25%以上割増した賃金を支払うことを、使用者に義務付けています(労働基準法第37条)。平成28年度(平成28年4月から平成29年3月まで)に全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき、企業に監督指導した結果、1社で計100万円以上の未払い残業代を支払ったのは1349社であり、支払われた割増賃金合計額は127億2327万円にものぼり、対象の労働者は9万7978人だったとのことです。

今回は、残業代が発生しているにもかかわらず、支払われていないことが多いケースについてまとめましたのでご覧ください。

残業代とは

 労働基準法第32条1項は、使用者は、労働者に休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない、1週間の各日については労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない、と定めています。1日8時間以内、1週間40時間以内のことを法定労働時間といいます。

 使用者は、これを越えて労働させた場合、深夜に労働させた場合、及び、休日に労働させた場合は、上述した割増賃金を支払わなければなりません。

労働時間とは

労基法32条にいう労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。実作業に従事していない時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には,労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれていることから労働時間に該当すると判断されます。

休憩時間

 このように、そもそも休憩時間とは,作業をしていない時間を指すわけではないことはもちろん,物理的に心身を休めることができた時間のことを指すわけでもありません。
 そのため、昼の休憩時間と定められている時間帯に、作業が生じている場合や、頻繁に呼び出される場合や、日常的に電話番をさせてられている等、実質的には休憩時間が取れていない場合は、休憩時間には該当せず、労働時間として換算されるべきものです。
 
 そのため、例えば所定の労働時間が9時~18時(休憩時間が12時~13時)とされている場合で、実質的には休憩が取れていなかった場合は、労働時間は9時間となるため、1時間分の残業代が支払われるべきです。

研修

 終業後に研修が行われている場合、会社から参加が義務付けられていたり、事実上参加が強制されていたりする場合は、労働時間として換算されるべきものです。

待機時間

 トラックドライバーの方で多いのが、トラックから自由に離れることができない状態で、積荷・積み下ろしのために待機している場合や、指定の待機場所で待機することが決められている場合の、待機時間が労働時間として換算されないケースです。かかる時間も労働時間として換算されるべきものです。

 また、清掃業務や引っ越し業務等の仕事において、顧客からの要請があれば、即座に対応することが義務付けられている状態で待っている場合も、労働時間として換算されるべきものです。

管理職だからといって残業代が支払われていないケース

 管理職の場合、深夜残業割増を除く、割増賃金の支払いは義務付けられていません。そのため、法律上管理職に該当しないにもかかわらず、肩書として管理職であるからといって、残業代が支払われていないケースがあります。

 管理職とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあり、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限になじまない者をいいます。この管理監督者に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって、客観的に判断されます。そのため、肩書は管理職であってもタイムカードで労働時間が管理されているなど、裁量がない場合は、残業代が支払われなければならないものです。

固定残業代

 残業代として一定額が支払われている場合も注意が必要です。固定残業代が支払われている場合や、基本給に残業代が含まれているといった給与体系も多くあります。しかしながら、そうだからといって、どれだけ残業しても残業代が支払われないというものではありません。

 残業代として支払われている時間分を越えて労働した場合は、当然に残業代を支払わなければなりません。
 したがって、例えば、20時間分の固定残業代が支払われているケースにおいて、月の残業時間が50時間だった場合は、30時間分の残業代が支払われなければなりません。

まとめ

 以上、残業代が支払われていない代表的なケースを記載してきました。しかし、労働時間に該当するかどうかは、個別的な判断になりますので、“ひょっとしたらこの分本来は支払われるべきではないのか”、と疑問に感じた場合は専門家にご相談ください。