一生懸命働いても、正当な賃金を得られなければ、働く意欲を失ってしまいます。そこで、政府では、企業が最低限払わなくてはいけない1時間当たりの賃金を定めています。それを「最低賃金」といいます。

産業や職種に関わりなく、各都道府県で働くすべての労働者とその使用者に適用される「地域別最低賃金」は、1年ごとに更新されますが、各都道府県で違います。一般的に、最低賃金は都心部が高く、地方が低くなっています。平成28年度の全国平均額は823円で、平成27年度の798円を25円上回りました。

実は最低賃金は1つではない

最低賃金にはもう一つ、「特定(産業別)最低賃金」があります。これは特定の産業について設定される最低賃金で、「地域別最低賃金」よりも高い最低金額を定めることが必要と認める産業について設定されています。もし「特定最低賃金」が「地域別最低賃金」下回る場合は、「地域別最低賃金」優先されます。ここでは、すべての労働者に適用される、地域別最低賃金を中心に見ていきましょう。

最低賃金は労働者が不当に安い賃金で働くことのないように定めたものですので、自分が働く都道府県の最低賃金を知っておくことは必要です。と同時に、自分がもらっている給料を最低賃金と比較する方法も覚えておきたいところです。それでは、まず「都道府県別の最低賃金」を高い順から見てみましょう。

全国の最低賃金ランキング(平成28年10月1日発効)

順位都道府県名最低賃金時間額(円)
H28H27
1東京93290725
2神奈川93090525
3大阪88385825
4埼玉84582025
4愛知84582025
5千葉84281725
6京都83180724
7兵庫81979425
8静岡80778324
9三重79577124
10滋賀79376924
11北海道78676422
12岐阜77675422
13栃木77575124
14茨城77174724
15富山77074624
15長野77074624
16福岡76574322
17奈良76274022
18群馬75973722
18山梨75973722
19石川75773522
19岡山75773522
20福井75473222
21新潟75373122
21和歌山75373122
21山口75373122
22宮城74872622
23香川74271923
24福島74270521
25島根72669622
26山形71769621
26愛媛71769621
27青森71669521
27岩手71669521
27秋田71669521
27徳島71669521
28鳥取71569322
28高知71569322
28佐賀71569421
28長崎71569421
28熊本71569421
28大分71569421
28鹿児島71569421
29宮崎71469321
29沖縄71469321
全国加重平均額82379825

全国加重平均額は、H28年度が823円で、H27年の798円から25円伸びています。

安倍内閣は、全国最低賃金1000円を目指すといっていますが、まだまだ道は遠いのが現状です。ちなみに東京都は第1位で932円、29位の宮崎県、沖縄県の714円と218円も差があります。これは、下位の県は年間の生活費が東京都などの上位ほどかからないことなどの理由もありますが、大きく開いた金額だと思います。

最低賃金の適用外になる場合

このように毎年定められ、法律で保護されている最低賃金ですが、適用外、適用を受けられない人もいます。これには、ア.都道府県別最低賃金と、イ.特定最低賃金があります。ただ、会社が独自の判断で労働者を亭低賃金適用外にすることはできません。労働基準局に申請書を提出し、許可をもらうことが必要です。

ア. 都道府県別最低賃金が適用外になる人

・精神または身体の障害により著しく労働力の低い人
・試用期間中の人
・基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けていて、厚生労働省で定める人
・簡易な業務に従事する人
・断続的労働に従事する人
こうした人は、都道府県別の最低賃金の適用外になることもありますが、申請が認められないで、会社の独自判断で決めた場合は、労働基準法の違反となります。

イ. 特定最低賃金が適用外になる人

・18歳未満、65歳以上
・雇い入れ後一定期間未満の技能取得中の人
・当該産業特有の軽易な業務に従事する人

都道府県別最低賃金と同様、労働基準局の許可が必要です。特定最低賃金の場合は、18歳未満65歳以上という年齢の制限がありますが、都道府県別最低賃金を未成年・高齢者を理由に下回ることはできません。また、同様に外国人だからという理由で、最低賃金を下回ることもできません。

自分と給料と最低賃金をどう比較するのか

月給制での最低賃金の計算方法

月給制の場合は、税金が引かれる前の総支給額から諸手当(残業手当、家族手当など)を引いた金額が、あなたの比較する金額です。この金額と、法定労働時間から計算した月の最低金額を比較します。法定労働時間とは1日8時間・週40時間と決められています。

まず『その月の日数(休日も含む)×40時間÷7』という計算式で、1カ月の法定労働時間の上限を出します。その金額に都道府県別の最低賃金をかけます。法定労働時間の上限が、177時間だった場合、最低賃金の高い東京都では、164,964円になり、低い宮崎・沖縄では126,378円になります。この額とあなたのもらっている額を比較します。

時給で最低賃金と比較する場合

1時間当たりの賃金は、簡単に言うと、税金の引かれる前の総支給額(残業代や諸手当を除く)÷法定労働時間で知ることができます(*残業代の計算方法を参照)。この場合は、時給ですので単純に、都道府県の最低賃金と比較することができます。