記事監修
一度は聞いたことはある「サービス残業、通称:サビ残」。これは、無給で残業をすることを指します。
この言葉が浸透していることから分かる通り、現在の日本では残業をすることが当たり前のようになっています。しかし、仕事はあくまで仕事であり、趣味や家庭を仕事と両立させたいという人も少なからずいるはずです。
では、残業が少ない職種とはどのような職種なのでしょうか。また、このような職場を選ぶにあたり、何か気を付ける点はあるのでしょうか。
1.残業が少ない業種・職種の傾向
職業を選ぶにあたり、出来れば残業が少ない職種につきたいですよね。そもそも、どのような職種であれば残業が少ないのでしょうか。
ここで残業が少ない業種の傾向としては、3点指摘できるでしょう。
①営業時間が決まっているサービス業
サービス業というと残業が多いイメージですが、業務内容によっては残業が少ない傾向にあります。それは「営業時間が決まっているサービス業」です。例えば、スポーツジムなどのスポーツ/ヘルス関連施設、薬局が代表的な例として挙げられます。これらの職種は、営業時間内の店舗での接客がメインとなるため、時間外対応に時間を取られないようです。
➁会社を相手に商品を販売する仕事
また、小売店や医療機器メーカーのように、会社を相手に商品を販売する仕事も、残業が少ない傾向にあります。相手の会社に営業時間に合わせて活動することや、緊急性を要しないことが残業の少ない理由でしょう。
残業が少ない順番
少ない順 | 時間 | 業種大分類 | 業種小分類 | 年間休日日数が多い順番 |
1位 | 12.3 | サービス | スポーツ/ヘルス関連施設 | 67位 |
2位 | 12.4 | メディカル | 薬局 | 37位 |
3位 | 12.8 | 金融 | クレジット/信販 | 12位 |
4位 | 13.2 | メディカル | 病院 | 69位 |
5位 | 13.8 | 小売/外食 | 専門店/小売店 | 75位 |
6位 | 13.9 | メディカル | 医療機器メーカー | 4位 |
7位 | 15 | サービス | ホテル/旅館 | 73位 |
8位 | 15 | メーカー | 服飾雑貨メーカー | 46位 |
9位 | 15.2 | サービス | 士業関連 | 50位 |
10位 | 15.2 | 金融 | 投信/投資顧問 | 35位 |
DODA(https://doda.jp/guide/ranking/073.html)より引用
2. 医療・サービス業などの残業が少ない傾向
医療やサービス業と聞くと、残業がとても多いイメージを抱くかもしれません。しかし、実際には残業の少ないクリーンな職場が多いのです。これはどうしてなのでしょうか?
両者に共通するのは、お客様が相手の商売だということです。お客様が来なければサービスを提供することができません。そのため、必然的に業務時間は限られてきます。もちろん、運輸や介護など24時間対応のサービス業もあります。しかし、こういった職種は、特定の仕事を完了させるというよりも、仕事が時間で区切られていることの方が多いのです。そのため、他の業種より残業が少ない傾向にあります。
とはいえ、飲食店での長期残業などサービス業でも長時間労働がなされるケースもたくさんあります。
3. 休日の数も考慮しましょう
残業の少ない会社を選ぶときには、「休日の数」にも注意しなければいけません。いくら残業が少なくとも、出勤日数が多ければ、実際に休める時間が短くなってしまうからです。
法律上は、最低でも1週間に1回の休日を与えなければならない決まりになっています。
日本の会社は就業規定によって週休2日の規定としているところが多いのですが、休日出勤が多い職場もあるため注意が必要です。
4. 法律では年間休日何日以下は違法と言った決まりはない
労働基準法で休日について定めているのは、以下の条文だけです。
第三五条(休日)
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
労基法35条によれば、使用者は最低でも「1週間に1回」もしくは「4週間に4回」の休日を労働者に与えればよい、ということになっています。裏を返せば、この最低基準をクリアしている限り、年間に何日休日を与えようと使用者の自由なのです。
ただし、職場によっては忙しい週やそうでない週があり、定期的な休みを取れないところもあると思います。そのような職場では「変形労働時間制」という制度が採られていることが多いです。これは簡単にいってしまえば、一定の期間を単位として、その期間内の労働時間数の平均が法定労働時間に収まっていれば、週または1日の法定労働時間を超える日があってもよい、とする制度です。この変形労働時間制を適用する期間を1年として採用している場合には、年間労働日数が260日と決まっています。つまり、年間休日が105日にならないといけないのです。
自分の職場がどのような労働時間制をとっているのかに注意しましょう。
監修弁護士
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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